狭心症・心筋梗塞とは|違いと注意すべき症状
「階段を上ると胸が締め付けられる」「急に激しい胸の痛みに襲われた」
このような症状は、心臓の筋肉に血液を送る「冠動脈」にトラブルが起きている症状の可能性があります。心臓の病気の中でも、特に注意が必要なのが「狭心症」と「心筋梗塞」です。
どちらも命に関わる重要な病気ですが、その性質や緊急性は異なります。今回は、この2つの病気の違いや症状、当院で行える検査について記載しました。
狭心症とは
狭心症とは、心臓の筋肉に酸素や栄養を運ぶ「冠動脈」が動脈硬化などの影響で狭くなり、一時的に血流が不足する状態を指します。心臓はポンプのように休まず動いていますが、運動時などはより多くの酸素を必要とします。しかし、血管が狭くなっていると必要な量の血液を送り込めず、心筋が「酸素不足」に陥ります。これが狭心症のメカニズムです。
狭心症には大きく分けて、以下の2つのタイプがあります。
- 労作性狭心症:階段の上り下りや重い荷物を持った時など、体を動かした際に症状が出ます。安静にすると数分で治まるのが特徴です。
- 安静時狭心症(冠攣縮性狭心症):夜間や早朝の安静時に、血管が痙攣(けいれん)を起こして狭くなるタイプです。
狭心症の段階で適切に治療・管理を行うことは、「心筋梗塞」を防ぐために極めて重要です。
心筋梗塞とは
心筋梗塞は、狭心症よりもさらに深刻な状態です。動脈硬化によって狭くなった冠動脈の中に血栓ができ、血管が「完全に詰まってしまった」状態を指します。血管が詰まると、その先の心筋に全く血液が届かなくなります。
血液が途絶えた状態が続くと、心筋の細胞は壊死(えし)してしまい、一度壊死した心筋は元に戻ることはありません。
心筋梗塞は、発症から数時間以内の処置がその後の予後(回復の見込み)や命を左右する、まさに一刻を争う緊急事態です。激しい胸の痛みが20分以上続く場合は、迷わず救急車を呼ぶ必要があります。
狭心症と心筋梗塞の違い
よく混同されがちな2つですが、決定的な違いは「血管が完全に詰まっているかどうか」と「心筋が壊死しているかどうか」です。
狭心症は「心筋梗塞の前兆」とも言えます。胸に違和感がある段階で循環器内科を受診し、血管が完全に詰まるのを防ぐことが何よりも大切です。
狭心症、心筋梗塞の症状
心臓の病気の代表的な症状は「胸の痛み」ですが、実は痛み以外にもさまざまなサインが現れることがあります。
典型的な症状
- 胸の圧迫感・絞扼感:胸がギュッと締め付けられるような、重苦しい感じ。
- 胸の痛み:焼けるような痛みや、重い石を置かれたような感覚。
放散痛(ほうさんつう)
心臓の痛みが神経に伝わり、胸以外の場所に現れることがあります。これを放散痛と呼びます。
放散痛が現れやすい箇所
- 左肩・左腕の痛み
- 顎(あご)の痛み、歯の浮くような感覚
- 喉の違和感、奥歯の痛み
- 背中の痛み(特に肩甲骨の間)
その他の症状
特に心筋梗塞の場合、激しい痛みに加えて以下の症状を伴うことがあります。
- 冷や汗
- 吐き気・嘔吐
- 呼吸困難
- 意識が遠のく感覚
高齢の方や糖尿病を患っている方の場合は、典型的な「胸の痛み」を感じにくい(無痛性心筋虚血)ことがあるため、軽い息切れや「なんとなく元気がない」といった変化にも注意が必要です。
狭心症・心筋梗塞の検査
当院では、患者様の症状や既往歴を詳しく伺った上で、心臓の状態を評価するために以下のような検査を実施しています。これらは体への負担が少なく、クリニックで速やかに行える検査です。
心電図検査
心臓の電気的な動きを記録します。心筋梗塞の有無や、不整脈の状態を確認する最も基本的な検査です。ただし、狭心症の場合は安静時の心電図では異常が出ないことも多いため、必要に応じて以下の検査を組み合わせます。
ホルター心電図(24時間心電図)
小型の装置を身につけて、日常生活中の心電図を24時間連続で記録します。夜中や早朝に起こる「安静時狭心症」や、時々しか出ない症状を捉えるのに有効です。
心エコー検査(心臓超音波検査)
超音波を使って心臓の形や動き、弁の状態をリアルタイムで観察します。心筋梗塞による心筋の動きの低下がないか、心臓のポンプ機能が維持されているかを確認できます。
血液検査
心筋がダメージを受けた際に血液中に流れ出す特殊な酵素を測定します。これにより、現在心筋梗塞が起きているか、あるいは最近起きたのかを判断する手がかりになります。また、動脈硬化のリスク因子であるコレステロールや血糖値の状態も併せてチェックします。
※さらに詳細な検査(カテーテル検査や心臓CT検査など)が必要と判断される場合は、提携する高度医療機関へ速やかにご紹介し、スムーズに検査を受けていただける体制を整えています。
狭心症、心筋梗塞は当院へご相談ください
狭心症や心筋梗塞は、早期発見と適切な管理によって、その後のリスクを大きく減らすことができる病気です。「病院に行くほどではないかもしれない」「一時的なものだから大丈夫」と自己判断してしまうのが、最も危険です。特に高血圧、脂質異常症(コレステロール)、糖尿病、喫煙習慣がある方は、血管の老化(動脈硬化)が進みやすく、発症のリスクが高いと言えます。
当院では、これまでの病歴をうかがい必要な検査を行っていきます。お一人おひとりのリスクに応じた予防策や治療方針をいっしょに考えていきたいと思います。
- 時々、胸が締め付けられるような違和感がある
- 階段を上るとすぐ息が切れる
- 血圧やコレステロール値が高いと指摘されている
- 家族に心臓病を患った人がいる
このような不安をお持ちの方は、ご相談いただければ、地域の皆様の「心臓のかかりつけ医」として、大切な心臓の健康をサポートいたします。
瀬戸みずの坂内科クリニック院長
高木 克昌 (たかぎ かつまさ)
主な保有資格
- 医学博士
- 日本内科学会総合内科専門医
- 日本循環器学会循環器専門医
- 日本不整脈心電学会不整脈専門医
- 日本糖尿病協会糖尿病認定医
- 日本抗加齢医学会専門医